◆ アレルギー性鼻炎について
 アレルギー性鼻炎とは、花粉やダニが原因となり、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状が出ることを言います。花粉症の代表であるスギ花粉症は全国民の4人に1人が、さらにダニやペットの毛などが原因で発症する通年性アレルギー性鼻炎も全国民の4人に1人が罹患しているといわれています。
◆ 治療について
 アレルギー性鼻炎の治療は、まず第一に症状を和らげることを目的とした薬物療法(対症療法)があります。
薬物療法は抗アレルギー剤の内服や点鼻薬を使用するのが一般的です。当院ではこれに加えて漢方治療も行っていますが、薬物療法は対症療法であり根治を目指すものではありません。
これに対して免疫療法は根治が期待できる唯一の治療法です。
この治療は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少量から投与し体をアレルゲンに慣らすことによって症状を抑える方法です。
現在、スギ花粉とダニアレルギー性鼻炎の治療を保険診療で行うことができます。
◆ 当院での免疫療法について
 開院以来、スギ花粉症に対して皮下注射免疫療法を行ってきました。
しかし注射による方法は痛みが強く、重篤な副反応が報告されています。
このため皮下注射に代わる方法として舌下療法が考えられ、2014年10月にスギの舌下免疫療法薬「シダトレンスギ花粉舌下液」が、2018年6月にはシダトレンを改良した「シダキュアスギ花粉舌下錠」が発売されました。
舌下療法は注射法と同等の効果が期待できるだけでなく、治療も自宅で行うことができ、さらに重篤な副反応が少ないという利点があります。
当院では新たにスギ花粉症の加療を始める方には皮下注射療法は行わず、シダキュアを使った舌下免疫療法を行っています(シダトレンは2021年3月31日販売終了となります)。
 ダニアレルギー性鼻炎に対しても、2015年12月に舌下免疫療法治療薬「ミティキュア錠剤」が発売となり、当院で加療を行うことができます。
■ 当院ではシダキュア、ミティキュアともに小学生以下の加療は行っておりません。
◆ 免疫療法の治療成績について
 免疫療法は根治が期待できる唯一の治療法とはされていますが、全員に効果があるものではありません。
治療を行った方の概ね20%が著効(症状がなく薬を必要としなくなる)、60%が有効(薬は必要とするが、減薬できたり、症状が楽になる)ですが、20%の方には効果がありません。
また効果があって終了した場合でも、その後効果が減弱することがあります。
◆ 治療の流れ
 初診時はアレルギー検査、問診などを行い免疫療法の適応があるか確認します。
初回投与は当院で行いますが、以後は自宅で毎日、3-5年間継続して治療を続けます。
なお、スギ花粉免疫療法は安全に行うためスギ花粉の飛散する前後には開始できません。
当院では6月から10月の間で体調が良い時に開始しています。
ダニアレルギー性鼻炎の免疫療法の開始時期も、同様に6月から10月としています。
◆ 治療開始後の通院について
 初回投与は当院で行います。投与後30分は院内で待機して副作用が出ないことを確認しますので、午前、午後ともに最終受付の1時間前までに来院し、「免疫療法開始のために受診した」ことを必ず受付に申し出てください。
2回目の受診は1週間後、ここで問題がなければ高用量の薬に変更します。
その2週間後の受診で安全に使用できているかを確認し、問題なければ1か月に1回の通院を3年から5年、継続していきます。
費用は1か月あたり3,000円から4,000円程度(3割負担)です。
◆ 合併症について
 口内炎、口腔内の腫れ、咽頭違和感、かゆみ、下痢などが出ることがあります。
副作用のリスクを減らすために、投与前後2時間は運動、入浴 飲酒を避けてください。
非常にまれですが、アナフィラキシーという、生死にかかわるアレルギー反応が出現する可能性があります。
◆ 適応となる方、適応とならない方
適応となる方
・スギ花粉症 あるいはダニ通年性鼻炎の症状が強く、薬を減らしたい方
・将来の妊娠、受験などに向けて少しでも良くしておきたい方
・定期的に長期にわたり通院できる方
適応とならない方
・妊婦さん
・重症喘息がある方
・重度の心疾患がある方
・癌の治療をしている方
・免疫抑制剤、ステロイド経口投与などの治療を行っている方
・βブロッカーという降圧剤を内服されている方(他剤に変更する必要があります)
・三環系抗うつ薬及びモノアミンオキシダーゼ阻害薬を内服されている方
・小学生以下(当院では行っておりません)
◆ 治療を始める前にもう一度ご確認ください
□ スギ花粉症 あるいはダニ通年性アレルギー性鼻炎ですか?
□ 免疫療法の“適応とならない方”では ありませんか?
□ 月1回の通院が必要です。(開始直後は1週間→2週間で通院)
□ 治療期間は数年にわたります。
□ 全員に効果があるわけではありません。20%は無効です。
□ 効果があって終了した場合でも、その後効果が減弱することがあります。
□ アナフィラキシーのリスクがあります。
□ スギ花粉症ならびにスギ花粉症合併のダニ通年性鼻炎の方の加療開始は6月から10月です。
□ 初回投与は当院で行いますので午前、午後ともに、最終受付の1時間前までには来院し「免疫療法開始のために受診した」ことを必ず受付に申し出てください。
この時間を過ぎた場合は、当日の治療は基本的に行いません。
参考;【鳥居薬品のアレルゲン免疫療法専門サイト】
安田内科クリニック
埼玉県さいたま市浦和区高砂2-2-20 Kビル2F
TEL 048-835-2188